USCPAの受験全体を振り返る【まとめ】
Congratulatory Letterをもらってひと安心したところで、私のUSCPA受験生活を振り返ってまとめておきます。
2017年12月に勉強開始した時のスペック
学歴:日本の四年制大学法学部卒(経済・会計科目単位ゼロ)
職歴:日本の銀行に8年勤務(主に法人営業)
英語力:TOEIC820点(英語圏への留学経験ナシ)
関連する資格:日本証券アナリスト(2012年)
この中で受験勉強で一番役に立ったのは職歴です。
実務を通じて身に付けた知識というのは座学で得た知識よりもずっと役に立ちます。
銀行の法人営業として担当していた顧客企業の決算書を山ほど見ていたため、簿記2級相当の知識はあったんじゃないかと思います。仕訳は分からなくとも出来上がりのFinancial Statementのイメージは持っていましたし、まさに仕事でやっていた財務分析は得意でした。
また、主にBECの範囲になる金融・経済は基礎知識があったので、勉強が楽だったと思います。
TOEICのスコアは、一応目安として載せておきますが、あんまり意味はないと思います。リスニングなんてUSCPAには全く関係ありませんからね。
私のTOEICスコアは、日本全体の基準で言えばまぁまぁだと思うのですが、帰国子女や外資系企業で働く方と比べると低いですし、英語で仕事をしたことはなかったので会計専門用語が分からず、勉強を始めた当初は「inventoryってなんだっけ? あ、在庫のことか!」というレベルでした。
4科目合格するまでの道のり
全体感
USCPA受験ブログでは科目ごとの勉強時間を書いている方もいらっしゃるのですが、ずぼらな私は各科目の勉強時間を測っていませんでした。
ざっくりとした勉強スケジュールはアビタスのマイページにあるカレンダーで管理していたものの、昼間に家で一人で勉強していると、家事をやりながらになってしまったり、ログアウトせずに買い物に行ったり。。。
なので、全体のスケジュール感だけ振り返っておこうと思います。
2017年12月後半~1月初め 英文会計入門
2018年1月~2月 FAR
2018年3月 AUD
2018年4~6月初め FAR(→81点で合格)
2018年6~7月初め AUD(→58点で不合格)
2018年7~9月初め REG(→85点で合格)
2018年10~12月初め BEC(→79点で合格)
2019年1~3月初め AUDリベンジ(→82点で合格)
トータルの勉強期間は約1年3ヵ月でした。
夫が会社に行っている間に勉強すると決めていたので、夫の出張中やREGのように追い込まれたときを除き、平日夜と週末はほとんど勉強しませんでした。
働いていないとはいえ、ESLに通ったり家事をやったりはしていたので、平均すると1日4~5時間、週20~25時間くらい勉強していたと思います。
フルタイムで働きながらとなると、この勉強時間が確保できるかどうかがポイントですね。
FARはやっぱり時間がかかる
FARは勉強開始から受験するまでトータル4.5ヵ月ほどかけています。
AUD、REG、BECは勉強開始から初受験まで約2ヵ月(AUDは勉強が飛び飛びになった上に1回落ちてますが)ですので、4科目の中では一番時間をかけて集中して勉強しました。
FARは範囲が広く、内容が複雑で、計算問題が多いのが特徴です。
1問あたりにかける時間が長くなりがちですから、本番の試験は時間との戦いでした。
FARを最初に受験する人が多いと思いますが、それはFARの内容が他の科目のベースとなっているから。
そして、FARがおそらく4科目の中で最難関であるから。
もし他の科目に合格した状態でFARに2回、3回と手こずってしまうと先に合格した科目がexpireしてしまう可能性が出てきますからね。
FARに1回で合格できたのはとても幸運だったと思います。
AUDで大事なのは論理的思考力とアサーション
2018年7月に58点で不合格となり、2019年3月に82点でリベンジを果たしたAUD。トータルの勉強時間で言えば、たぶんFARと同じくらいかけました。
計算問題がほとんどなくて、問題文がFARより長く、当初から苦手意識がありましたが、一番苦労した科目でした。
まとめ記事で力説したとおり、AUDで大事なのは論理的思考力です。アサーションを意識して問題文を読むようになってから正答率がぐんと上がりました。
REGは4科目の中で一番特殊
REGの範囲は税法とビジネス法なので、4科目の中では毛色が違う科目でした。なかなか勉強に集中できず、本番1週間前に受けた模擬試験で42点をたたき出してしまう始末。受験した直後はまったく合格できる感じがしませんでした。
が、結果としては85点と、4科目の中で一番高いスコアで合格しました。
試験を受けた時の感触と結果が全然違って、よく分からない科目だったなぁという印象です。
アメリカに住んでいるとはいえ、今は働いていないので確定申告しませんし、したとしても大抵の人はStandard Deductionで済むと思うので、Itemized Deductionの細かい内容を覚えるのは苦痛でした。
BECは広く浅く、深入りは不要
試験範囲の広さで言えば、BECはFARに匹敵すると思います。
ただ、大きな違いは、FARは「広く深く」であるのに対して、BECは「広く浅く」であるということ。
金融・IT・経済をすべてカバーしようとすると勉強計画が破綻するので、問題集に載っていることをきっちり勉強すれば十分です。
なお、Written Communicationに関しては、内容の正確さよりも、英文報告書としての体裁が問われます。WCが苦手な方は英文ライティングの参考書を1冊買ってみるとよいかもしれません。
テストにWCが存在する理由については、SmokyAuditさんのブログ記事がとても勉強になります。アメリカで現役内部監査Directorをやっていらっしゃるのでとても説得力があります!
全科目合格までにかかった費用
USCPAを受けようかどうしようか迷っている方が気になるのが費用だと思います。
私はFACSで学歴評価を行い、グアムに出願、アメリカ本土で受験したので、受験費用はかなり抑えられました。
学歴評価:$106.65(郵送$6.65+FACS$100)
初回出願:$473.50(郵送$6.70+出願料$50+受験料$208.40*2)
2回目出願:$473.50(郵送$6.70+出願料$50+受験料$208.40*2)
3回目出願:$265.10(郵送$6.70+出願料$50+受験料$208.40)
※郵送料は距離によって変わります。
ここまでトータル$1,318.75。
これにmarriage certificateや英文成績証明書を取得するための代金を足すと約$1,350。
受験そのものにかかる費用は、出せない金額ではないですよね。
大きいのは上記以外の、予備校の授業料、単位取得代、参考書代ですね。
私は経済・会計科目がゼロだったのですべてアビタスが提携しているCSUEBで取得しました。
最終的に、出願料や授業料等もろもろ含めて、私がUSCPAに合格するまでに費やしたお金は全部で約86万円でした。
(1ドル110円で換算)
ただ、グアムは出願料が50ドルと安かったのも魅力でしたが、2019年6月13日からオンライン化されるとともに初回出願料200ドル、2回目以降100ドルになると発表されています。
日本人受験者の出願が多いだろうアラスカ州は175ドル、ワシントン州は155ドルですから、初回で4科目すべてに出願する人以外はまだグアムの方が安い計算になりますね。
グアム以外の州では学歴評価にFACSではなくNIESを使わなければならないところが多く、そうなると225ドルかかります。
さらに日本会場で受験すると1科目につき356.55ドルの追加料金!
費用の面では、グアム出願・アメリカ現地受験にしたおかげでかなり抑えられました。
受験全体を振り返って
やっておいて良かったこと
①NASBAのSNSアカウントをフォローする
これはマストです!
何と言っても結果発表時刻が告知されますからね。
②2周目が終わった時点でまとめノートを作る
自分の知識を整理するためと、試験直前の見直しに役立ちました。
最初から作ると膨大な量になってしまうので、2~3周してある程度理解が進んだ時点で作成するのがベストだと思います。
やっておけば良かったこと
①AICPA Sample Testをもっと活用する
AICPAが実際にテストに出した問題をネット上で公開してくれています。
受験しようか迷っていた時にもこれを見てみれば、実際のテストのレベルと雰囲気が分かってよかったんじゃないかと思います。
また、FARで回線が安定せずにイライラしてしまったためその後やらなくなってしまったのですが、BECでそれを後悔しました。
試験直前には必ずSample Testをやった方がいいです。
②アプリをフル活用する
2回目のAUD受験に向けた勉強中に初めてアプリを使用しましたが、スキマ時間を有効活用できるのでもっと早くに使っておけばよかったなぁと。
計算問題には向きませんが、AUDやREGにはオススメだと思います。
やってはいけないこと
①講義動画だけを見て問題演習を後回しにする
英文会計入門を勉強し始めた時、チャプター全体の講義動画が終わったらまとめて問題演習をするやり方でサクサク進めたので、FARもその調子で続けてしまいました。
あとで後悔。
問題演習をやらないと本番の試験は解けません!
必ずこまめに問題演習をやり、できるだけ繰り返すことが大事だと思います。
②無理なスケジュールで詰め込んで勉強する
人によって前提知識が違いますが、よほど自信がある人でなければ、2科目同時受験はオススメできません。
1科目ずつ範囲も傾向も違うので、どちらも中途半端になってしまう可能性があります。
個人的には1科目ずつ集中して勉強するのが一番でした。
③模擬試験の結果を気にし過ぎる
4科目を受けてみて、模擬試験と本番の結果があんまり相関しなかったなぁという印象です。
模擬試験が同じ55点でも、FARは合格、AUD1回目は不合格。
模擬試験では42点だったけど、REGは85点で合格しました。
もちろん受ける時期にもよると思うのですが、アビタスやWileyの模擬試験は、時間配分やテスト画面操作の練習として割り切って、直前まで追い込む諦めの悪さも大事かと!
まとめ
USCPAには向き不向きがありますが、金融・会計のバックグラウンドがある方にとっては手の届きやすい資格だと思います。
特に、駐在・留学など期間限定であってもアメリカに住んでいる方なら、現地受験できる上に最悪日本に帰った後も受験を継続することができるのでおすすめですよ!