アメリカ本土でのUSCPA受験録

アメリカ本土でUSCPAを受験した過程を綴っています

元銀行員がアメリカ本土でUSCPA試験を受験した過程を綴っています

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AUDの勉強方法【まとめ】

今回はあっというまにScore Formが発表されてびっくりです!

12月に受けたBECはクリスマス休暇があったとはいえ2週間以上待たされたのに!

 

Score Formで"Score : 82  Result : PASS"という文字を見て、本当に受かったんだなぁと改めて思いました。また、Creditという文字が4科目すべてに並んでいるのを見て、ようやく終わったんだなぁとも。

 

2018年7月の不合格を経て、2019年3月にようやく受かったAUD。

最初にAUDのテキストを開いたのが2018年3月でしたから、そこからカウントすると合格するのに丸1年かかってしまいました。

私の中の結論は、無理に詰め込まず1科目ずつきちんと向き合って勉強するのが一番、という身も蓋もないものですが、一番苦労したAUDの勉強方法についてまとめておきます。

 

1. 勉強開始~テストまでのスケジュールとやったこと

①2018年3月(1周目)

講義を2倍速で視聴→ユニットごとにMC→チャプター毎にMC&TBS

(その後は6/7までFARに専念したためAUDにはタッチせず)

②2018年6月8日~(2周目)

チャプター毎にMC→テキスト読み直し→TBS

③2018年6月19日(本番の2週間前)

アビタスの模擬試験(55点)

④テスト本番まで(3周目)

間違えたMC&TBS、ノート作り、リサーチ問題、Release Question(2017年)

⑤2018年7月3日

1回目受験→58点で不合格

⑥2019年1月前半 勉強再開(4周目)

テキスト熟読→チャプター毎にMC

⑦2019年1月後半(5周目)

チャプター毎にMC&TBS、改訂された分野のノート作成

⑧2019年2月(アビタス6周目&Wiley1周目)

Wiley TEST BANKのMC、アビタスのアプリでMC総復習

⑨2019年2月28日&3月1日(本番の約1週間前)

アビタスの模擬試験(71点)、WileyのPractice Test A(74点)

⑩テスト本番まで

Wiley MC2周目(間違えた問題のみ)&TBS、アビタスアプリのMC間違え直し、模試の見直し、AICPA Sample Test、Release Question(2018年分)、リサーチ問題

⑪2019年3月8日

2回目受験→82点で合格!

 

2017年12月にUSCPAの勉強を始めた当初、できればFARとAUDは2018年Q2(4月~6月10日)に受けたいと考えており、そのため英文会計入門とFARの1周目が終わった時点でAUDの勉強を開始しました。当時のブログにも書いてますが、FARの2周目とAUDの1周目を同時並行でやろうと考えていたんですね。

が、これは見込みが甘かった。2科目同時並行だと共倒れになりかねないと感じ、かと言ってAUDを1周目の途中で投げ出すこともできず、3月いっぱいをほぼAUDに費やすかわりに、4月からFARに専念することにしました。

6/7にFARを受けた後、AUDを再開して2周目にとりかかりましたが、2ヵ月強のブランクがあったので見事にほとんど忘れちゃってました。。。

本番の2週間前である6/19に受けた模擬試験は55点でしたが、FARも模試で同じ55点だったけど本番では81点で合格したので、そこまでヤバいという感覚もなく、7/3にテストを受けました。

しかし、9月に発表された結果は58点で、Score Form(Score Notice)では全分野Weakerという散々な結果に。。。

ただ、この時点ですでにNTSを持っていたBECを優先して、BECのあとにAUDを開始することにしました。

ということで、本格的にがっつりAUDに取り組み始めたのは2019年1月からでした。アビタスだけでは不安だったのでWiley TEST BANKを購入し、ひたすら問題を解きまくりました。

 

合格にいたるまでのトータルの勉強量は以下のとおり。

アビタスMC:6周

アビタスTBS:4周

Wiley TEST BANK MC:1.5周

Wiley TEST BANK TBS:1周

AICPA Release Question:2017年、2018年

 

2. 勉強方法

FARと並行して勉強し始めた時から、AUDはFARよりも苦手でした。というのは、

・問題文が長い

・監査の全体像のイメージが湧かない

の2点があったからなんですね。普通に考えればMCの問題文なんて長文とは言えませんが、FARと比較すると文字数が多く、MC1問1分~1分半で解くことを目指すとかなり読むのがつらかったですし、かと言って適当に読み流すと間違うし。。。また、監査業務をやったことがないので全然フローのイメージが湧かず、特に「xxを確認するためにyyとzzを突合する」と言われてもまったくピンときませんでした。

 

「AUDはもっとも論理的思考力が必要とされる科目」と言われますが、不合格になった時の私にはその意味が分かっていなかったです。なぜなら、自分が論理的に考えられていなかったから。

AUDでは、「どの段階で(監査の準備段階or統制テストの段階or実証性テストの段階 etc.)」「何のアサーションを確認するために(実在性or網羅性or正確性 etc.)」行うものなのかによって監査人の対応(解答)が変わってきます。つまり、売掛金のConfirmation(確認状)を送付するというワードが出てくれば、Substantive Test(実証性テスト)におけるExistence(実在性)の確認だな、というのが瞬時に結びつくようにならないといけないんですね(もちろんその逆である「Substantive TestにおいてA/RのExistenceの確認をするためには、Confirmationを送付する」ということも)。

このことに気づいたのが1月で、なんだか開眼したような晴れ晴れとした気分になりました笑

ここから、問題文や選択肢を読むときにアサーションを意識するようになり、論理的に問題を読み解くことができるようになって、問題の理解度と正答率がぐっと上がりました。

逆に言えば、これができていなかったから、1回目は落ちたのだと思います。

 

AUDで大切なのは、監査全体を俯瞰する視点を持つこと、論理的に考えることの2つです。 

この2つを押さえたら、あとは問題演習あるのみです!

まずはMCですが、苦手なMCの問題文を短時間で読みこなすためには、とにかく英語を読み慣れること! そしてポイントを押さえて読むこと!

この点、WileyのMCは問題量が多く、本番とほぼ同じ画面で進められるのでいい訓練になりました。また、アビタスのアプリもスキマ時間にサクサク進められるのでオススメです。なお、ある程度MCの問題数をこなして慣れてきたら、チャプターの区切りを取り払って、「テスト範囲全体から10問」というような形で解くのがオススメです。チャプター毎にやっていると、どうしても前提条件が似通ってきてしまうので。

 

TBSは問題によって難易度がかなり違ってきますが、模擬試験を含めても、アビタスもWileyも物足りません。2回受けて2回とも断然本番のほうが難しかったです。他の予備校の問題の難易度は分かりませんが、やみくもに手を広げるのも得策とは言えないので、AICPAのHPで公開されているサンプルテストと予備校から入手できるリリース問題(過去問)を繰り返すのが一番だと思います。そうすれば、少なくとも本番で難しい問題に当たってもパニックにならずにすみます。あまりに難しい問題はダミーの可能性もありますし、ネイティブ受験生も解けませんので、時間をかけ過ぎないようにするのも大事です。

 

最後に、私が2回ともかなり苦戦したリサーチ問題。TBSの中で、リサーチだけは(おそらく)ダミー問題ではないので、最初から捨ててはいけません。逆にリサーチが解けなければTBSを1問落としたことになり、詳細な配点は分かりませんが、けっこう痛手になるように思います。アビタスやWileyの問題を解くのももちろんですが、練習用データベースを自分なりにいろいろイジっておくのが一番いい練習になります。章立ての構成、効果的な検索方法を理解しておくと、該当箇所を絞り込むのが楽になります。ただ、リサーチもあくまでTBSの中の1問にすぎませんので、ここも時間を区切って解くようにするのが重要です。

 

3. AUDの勉強におけるポイント

①監査全体を俯瞰する視点を持つ

私は監査の仕事をしたことがなかったので、監査全体のフローをなかなかイメージできませんでした。同様に、事業会社での経理の経験もないので、会社内での伝票の流れもなかなかイメージできませんでした。

ですが、これは試験ですからそんなこと言ってられません。アビタスのテキストに載っていた全体のフロー図を読み、それぞれの部署の役割や書類の意味を理解・暗記するようにしました。そしてそれを問題文を読みながら常に意識しました。暗記という力業になりますが、監査の全体像を理解するためには必要だったと思います。監査法人や事業会社(特にメーカーや小売)での勤務経験がある人は、そんなに意識しなくても経験で分かっているかもしれませんね。

②問題文を論理的に理解する(監査段階、アサーション、most likely/least likely)

AUDで大事なのは、問題文をしっかり読んでポイントを押さえること。キーになるのは監査プロセスのどの段階なのか、何のアサーションなのか、適当なものを選ぶのか不適当なものを選ぶのか、の3つです。この3つを押さえれば、MCの問題文の理解度がかなり上がります。

③修正仕訳とF/Sへの影響をそれぞれきちんと理解する

私が苦手だったのが、例えばこういうケース。

「本来資産計上すべきである固定資産の修繕費1万ドルが、誤って費用として処理されているのを発見した」

この時、F/S上では、Fixed Assetが$10,000過少計上され、Other Expenseが$10,000ドル過大計上されています。この誤りを修正すると、Fixed AssetとOther Expenseはもちろん、Net Incomeやいろんな財務比率が変わってきます。

この影響をきちんと把握するのがとても苦手でした。頭の中だけでやろうとするとどこかでミスをするので、修正前・修正後の簡単なF/Sや仕訳をメモするようにしました。過少計上だったらマイナスで表記するのか、それとも修正すべき金額をプラスで表記するのか、考えた形跡を残しておくことで、あとで見直した際に間違いを見つけやすくなりました。

 

 

余談ですが、2回目のAUDの試験で初めてExcelを使用しました。便利だというのは聞きつつも、電卓に慣れていましたし、本番も電卓だけで何とかなっていたんですよね。今回のAUDでは同じ計算式を繰り返して使用する問題があったので、Excelの方が便利そうだなと思い、ぶっつけ本番で使ってみました。一応、仕事でも使っていましたし、Excelの基本操作は問題ないと思っていたので。

確かに、数式(Formula)をコピーすれば同じ計算ができるので、電卓よりも計算自体は早く終わった気がします。

ただ、日本人受験生が気を付けなければならないのは、キーボードがアメリカ式だということですね。記号の配置が日本と違うので、けっこう混乱しました。日本にいながらでは難しいと思いますができればアメリカ式キーボードに慣れておくか、本番でキーボード配列が違っても焦らないようにしましょう。私はちょっと焦りました。。。

 

 

 

合格まで約1年かかってしまったAUDですが、量をこなす中でようやくアサーションの重要性に気づき、なんとか合格することができました。

もちろん知識レベルによるのですが、冒頭に書いたように、1科目ずつきっちり向き合って勉強するのが一番ですね。

AUDが苦手な方の参考になれば幸いです。